人を口説くときは「口説けたこと」を前提に話を進める

人生において、人を口説くことは多いです。単純に異性を口説くこともあれば、仕事のパートナーになってくれと口説くこともあるでしょうし、一緒にご飯を食べに行こう、パーティーに行かないか、など幾らでも人を口説くタイミングはあります。
しかし、口説くというのはなかなか難しいものです。なぜなら、口説くということは相手に決断をさせることだからです。決断にはリスクがつきものですから、多くの人はそう簡単に首を縦に振りません。
では、どのようにすれば人を口説ける確率が上げられるでしょうか?
非常にシンプルな答えですが、「口説けたことを前提に話を進める」ことが有効です。既に相手が首を縦に振ったものとしてどんどん話を広げていってしまうのです。相手も最初はちょっと面食らうかもしれませんが、だんだんとこちらの意見を何となく聞いてしまうようになります。以下で簡単に理由を述べましょう。
まず、口説けたことを前提に話を広げていくということは、聞き手が気持ちよい話題展開をするということです。
相手が決断したときの話をするのですから、必然的にその人の生活がどうなるのかについて話すことになります。つまり、相手を中心とした話をどんどんしていくことになります。ほとんどの人は自分中心の話を心地よく聞くものです。それだけ自分の価値を高く相手が見てくれていると思うからです。ですから、聞き手はこちらの話を心地よく聞くことができます。
心地よく聞いている内に、聞き手はこちらの話がどうやら自分のためになるようだぞ、と思います。
話の内容は具体的な未来の話です。自分にどんなメリットがあるのか、どんなリスクがあるのか。この決断をすると自分の生活はどうなっていくのか。この方法で話すと、ただ「現在ある情報を全て提示する」というのよりもよっぽど明確かつ簡単に相手は自分の未来を描けます。未来の形が聞き手にスンナリと入ってくるのです。それが良いものであれ悪いものであれ、本来考えなくてはならないことを代行してやってくれて、決断をしやすくしてくれる。これは自分のためになる情報だと思うでしょう。
段々と楽しんで聞いている内に、聞き手は話を断りにくくなっていきます。
こちらが肯いたものとして話し手はドンドン話を重ねていきます。気持ちよく耳を傾けている内に、いつの間にか積み重なった話題の量は大きく膨れ上がってしまいました。今から大前提である「自分が首を縦に振ったという仮定」をひっくり返して全てを無に返すというのはなかなか気がひけるものです。ちょっとした提案なら、もう既成事実だと思ってしまった方が楽なような気がしてきます。
こうして、話を聞き終わった頃には、口説いていた内容が既に決まったことのような気がしてきます。ほとんどの決断は意外とどっちでもいいものなので、聞き手は流されてしまいます。もちろん、それでも反対されることは多いでしょうが、ただ自分が言いたいことを伝えて相手に判断を委ねるよりも、よっぽど確率高く相手を「うん」と言わせられるでしょう。
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